現地校と住居の選択

 海外への赴任が決まり、お子さんを帯同なさる場合、大きな課題は、まず「学校」と「住居」を決めることでしょう。どちらを先に決めるかは各家庭の事情によっても違うと思いますが、ミシガン州ではほとんどの公立学校の場合、住所によって通う学校は自動的に決まります。ですから、学校を選んでからその学校区内で家を探す保護者の方が多いようです。デトロイト補習授業校周辺の学校と地域については、「学校区別情報ページ」と併せて次のことを参考になさってください。

(1)学校を選ぶ
○学校を選ぶとき
大切なポイント...学校区についての情報を得る
 ・地域や学校区の特徴について
                  ・ESLやバイリンガル指導について
                  ・日本人の在籍数
日本から赴任してデトロイト周辺に住むほとんどの方は、お子さんを平日は現地の学校へ、土曜日にデトロイト補習授業校へ通わせています。アメリカの学校教育は州や郡によって事情が異なります。現地校はお子さんが週5日間過ごし、教育を受ける機関です。お子さんに一番適切な環境・学校を選ぶことが、お子さんだけでなく家族全員の安定した生活につながります。学校を選ぶには、まず学校区について情報を得ることがとても大切です。教育レベル、地域の治安、日本人の数、英語を母語としない子ども達へのケアなど、よく調べて、学校を知ることから始められるとよいでしょう。そして、ぜひ実際に学校を訪ねて見学されることをお勧めします。事前に電話でアポイントメントを取ってお子さんと一緒に訪問なさり、その学校の対応や雰囲気、教室や子ども達の様子などをご自分の目で見られるのがよいでしょう。
 現地の学校教育は、学校区によって内容や方針が定められますから、それぞれの学校区に特徴があります。 現地校について、「レベルが高い」という評判や「日本人が多い」という情報を聞いて、すでに特定の学校への転入を考えて来られる方もおられるようです。レベルが高いということは教育内容や指導が充実していると考えられます。しかし、英語が第一言語ではない外国人児童生徒にとっては、周りの子ども達のレベルが高い中で、それだけ学習における負担も大きいということになります。お子さんの年齢や性格はもちろん、何よりも英語力や適応力を充分に考慮することが大切です。
 ESL指導やバイリンガル援助の有無や方法も、学校を選ぶ際に考慮すべき観点です。お子さんが英語で学習する上に、また環境に慣れる上に、重要なプログラムです。
 また、日本人児童生徒の在籍数も関心の高い観点です。在籍数は転出入により常に変化していますが、地域ごとにだいたいの傾向はあります。ただし日本人が多いからといって、保護者や子どもたちへの援助が充分用意されているとは限りません。日本人の多い学校では、言葉が全く通じないとか全然わからないという不安や緊張感は少なく、子どもも保護者もお互いにサポートできますが、反面、日本人ばかり固まる傾向があり、英語を使う機会が少ないために、子どもによっては結局英語が伸び悩むというケースもあります。狭い日本人コミュニティの中では、日本人間のトラブルも起こることがあります。
 少数ですが、お子さんを私立の学校に通わせているご家庭もあります。私立の場合は公立の学校のように住居や学校区にとらわれる必要はありません。しかし、スクールバスのサービスがない、入試がある、女子校、ESLやバイリンガルプログラムがない、授業料が高額、キリスト教主義など、学校によってたいへん違いますので、やはり正確な情報入手が大切でしょう。実際に見学に行かれ、学校へ相談されることをおすすめします。
 現地校については「現地校情報のページ」をよくお読みになって、参考にして下さい。さらに詳しくお知りになりたいときは直接学校区へお聞きになるか、またはデトロイト補習授業校教育相談室へお問い合わせ下さい。

〇学校区と学校
 ミシガン州は87の郡(Countyカウンティ)に分かれていますが、それぞれの群の中に1つまたは複数の学校区(School Districtスクールディストリクト)があります。公立の学校は小中高とも、普通、児童生徒の住所に従って通学する学校が決められています。家の住所がわかっていて、そこからはどの学校に通うのかを知りたいときは、学校区の教育委員会(School Administration)に問い合わせると確実にわかります。学校区によっては、決められた学校に通わなくても同じ学校区内の他の学校を選択することができるところもあります。但し、その場合も学区内に住んでいる家庭が優先で、学区外からの希望は該当学年の人員に余裕がないと入れませんし、またスクールバスのサービスはありませんから、子どもの送迎は各家庭の責任ということになります。
 補習授業校周辺の主な学校区をカウンティごとに分けると、次のようになります。
カウンティ名 学校区名 カウンティ名 学校区名
Oakland county
オークランド







Birmingham
Bloomfield Hills
Farmington Hills
Novi
Rochester
South Lyon
Troy
Walled Lake
West Bloomfield
Wayne county
ウェイン

Grosse Ile
Northville
Plymouth-Canton
Trenton
Brownstown-
    Woodhaven
Wastenaw county
ワシュタナウ
Ann Arbor
Saline
Macomb county
マコム
Chippewa Valley
Utica
Monroe county
モンロー
Monroe
Isabella county
イザベラ
Mt.pleasant
Lapeer county
ラピア
Imlay City

現地高校入学・編入を検討中の保護者の方へ

米国の高校(現地校)では、補習校での取得単位を現地校のクレジットとして換算する制度があります。ただし現地校の方針によっては補習校の単位を認めて頂けない場合もあります。

補習校の単位を現地校のクレジットとして換算を希望される方は、慎重に居住する学校区を選定ください。

義務教育と学年の区分
 日本の義務教育は小学校1年生からですが、アメリカの義務教育期間はそれぞれの州が定めており、ミシガン州ではキンダーから始まります。従って、「エレメンタリースクール」と呼ばれる学校は、キンダガーデンを含みます。
 キンダーからハイスクールまで学年の区分については、学校区によって違いがあります。デトロイト周辺地域のほとんどの学校区では、キンダーから5年生までをエレメンタリースクール、6年生から8年生をミドルスクール、9年生から12年生をハイスクールとしています。(例外:Novi School District, Utica School Districtなど)詳しくは、それぞれの学校区の情報を掲載した「現地校情報ページ」をご覧ください。


ESL指導とバイリンガル指導
 英語を母語としないお子さんをおもちのご家庭にとって、ESL指導やバイリンガルプログラムの有無は、現地校を選ぶ際の重要な判断基準の一つになると思います。ミシガン州ではESL指導やバイリンガルプログラムの実施について州政府の指針がなく、それぞれの学校区にすべてが任されています。従って、各学校区が実施するかどうかを判断し、実施の場合は独自の方法で行っています。そのため、体制や指導方法・内容も学校区によって異なります。各学校区のESL指導、バイリンガル指導の有無と実施方法については、学校区別「現地校情報ページ」を参考にして下さい。また詳しくお知りになりたい場合は、補習授業校教育相談室へお問い合わせ下さい。

ESL指導
 ESLとはEnglish As a Second Languageの略です。英語を母語としない児童生徒に、英語を英語で指導する教育のことを指します。子ども達が、現地校の英語による授業で学ぶことができるようになることがESL教育の目的です。
  ESLクラスは、専門的なトレーニングを受けた先生が教えている場合やリーディングの先生が兼任している学校など、学校区によって指導者が異なります。聞く・話す・読む・書くの4技能を中心に英語を指導しますが、実施方法や内容は各学校区によって違います。小中高の各学校に常駐の先生がいてクラスとして指導する場合や、授業から取り出して個人またはグループ指導する場合などがあるほか、ESL指導を必要とする児童生徒を特定の学校へ集め、一定の期間英語の集中指導をするセンター校方式を取っている学校区もあります。ハイスクールによっては、ESL生徒のために、分かりやすい英語で教科を指導する授業が提供されるところもあります。(ESL English、 ESL History、 ESL Chemistry、 ESL.....という教科名がつけられている。)

バイリンガル指導
 現地校において児童生徒の母語を通して指導・援助されるプログラムをバイリンガル指導と呼びます。日本人の児童生徒のために日本語が話せるスタッフ を雇用し、このバイリンガル指導を実施している学校区があります。実施方法は学校区や学年によっても違っており、授業から取り出して個人またはグルー プ指導する場合と授業に入り込んで援助する方法とがあります。いずれの場合も日本語を使って英語や教科、クラスの宿題やプロジェクトの指導・援助を行います。バイリンガルの先生は、担任や他の教科の先生方と連携で指導にあたります。
 バイリンガルの先生は、学校と家庭との橋渡し的な役目も担っています。例えば、現地校の先生に日本人の文化・習慣の理解を図ったり、登録時やカンファレンス時に日本人の保護者に通訳のサービスをしたり、児童生徒が言語や習慣の違いから学校生活でとまどっているときにサポートしたりします。つまり、異文化・異言語環境に子どもができるだけ早く、スムーズに適応するために、学校と家庭(子ども)とのコミュニケーションを援助することも、バイリンガルの先生の重要な仕事であると言えるでしょう。 


(2)現地校への転入手続き
 転入手続きの方法は、学校区によって多少違いがあります。普通は通学予定の学校へ出向いて行いますが、登録はすべて別の所定場所で行う学校区もあります。あらかじめアポイントメントを取って行かれる方がよいでしょう。転入手続きのために必要な書類は、エレメンタリースクール、ミドルスクール、ハイスクールに共通して、次の通りです。手続きの際に持参して下さい。
○必要書類
出 生 証 明 書 パスポート
予防接種の記録
母子手帳の場合は英語訳が書き込んであるとわかりやすい。日本で医者に英文の証明書を依頼することもできる。
住所の証明になる書類2通(2種類) アパートの契約書、電話・ガス・水道料金の請求書など。運転免許証は受付けない場合が多い。
ミドルスクール・ハイスクールへ転入する場合に必要なのは、上記のもの以外に、
英文の成績証明書
特にハイスクールの場合、数学などは教科の内容がわかるように説明されていると現地校のスケジュールが決めやすい。日本の学校で使っていた教科書を持参して見てもらうと参考になる。

<注意事項>
1) 必要書類がすべて揃っていないと登録が完了しません。
2) 学校区によっては、登録時にご両親のパスポートも必要なところがあります。

3)

予防接種の記録などの年号は、日本の年号の場合(昭和や平成)、西暦を書き込んでおくと混乱を避けることができます。

4)

エレメンタリースクールは、登録したその日に転入できる学校もあります。ミドルスクールとハイスクールの場合は、事務的な登録が済んでからカウンセラーと受講するクラスを決めます。

5)

実際にクラスへ入る前(転入前または転入後すぐ)に英語のテストを行う学校区もあります。ESL指導やバイリンガルの援助が必要かどうかを判断するためのものです。

6)

予防接種が足りない場合、医者またはクリニックで受けることができます。学校のオフィスで聞いて、最寄のクリニックを紹介してもらうとよいでしょう。

7)

健康診断書が必要ですが、登録時に学校所定の用紙をもらって、こちらの医者やクリニックで書きこんでもらいます。

8)

これまで在籍していた学校名と住所を書き込みます。メモしておくと便利でしょう。

(3)補習授業校への編入

*補習授業校への編入には、海外子女教育振興財団より、渡米前に前もって教科書を受け取っておくことが必要です。

  海外子女教育振興財団:105-0002東京都港区愛宕1-3-4
             愛宕東洋ビル6階
             電話 03-4330-1341(代表)

(4)住む地域を選ぶ
〇住むところを探すとき
*大切なポイント...
・子どもの学校
・地域の特徴
 海外では、家族に適した良い環境を設定することを念頭に置いて、住む地域を選ばれることでしょう。何をもって“良い環境”とするかは各ご家庭によって見方が違うようですが、お子さんを中心とする家族の適応を考えるとするならば、まず教育、そして子育てや生活する上に安心して暮らせるところを探されることでしょう。
 それには、良い学校環境、良い仲間づくりのできるところ、良い英語に触れることができるところということになります。
 周りに日本人が住んでいると安心ですし、困ったときにはお互いに助け合うことができます。でも日本人が多く集まって住んでいたり、友達が日本人ばかりでは、英語に触れる機会が減りますし、日本人同士でトラブルが起こることもあるでしょう。また、集団で日本的なマナーや生活習慣をそのまま持ち込んでしまっては、近所のアメリカ人や学校の級友達に快く思われないことにもなりかねません。
 反対に、日本人が少ない地域では触れる英語の量が必然的に多くなりますし、地域の人々との交流の機会も増えるでしょう。こちらの生活習慣に早く慣れることができると思います。でも日本語で心置きなく話せる友達が少ないですし、日本人を受け入れたことがあまりなくて対応に慣れない学校もあります。
 ですから、お子さんの性格や家庭の方針、家族の状況をよく考えた上で、「家族に適した地域選び」をすることが大切です。地域について情報を充分に収集して判断されるとよいでしょう。不動産屋や補習授業校教育相談室へお問い合わせ下さい。

○治安について
 治安を心配せず、毎日安心して生活できるということは、すでに言葉の壁という不安要素がある海外において、精神的に安定して暮らすためにとても重要なことです。安全面については、日本で「デトロイト」の市名を耳にすると、まず犯罪の多い町、最も治安の悪いところを想像されると思います。確かにデトロイトのダウンタウンは犯罪も多く危険な場所もありますので、寂しい路地へ迷い込んだりすることのないように気をつける必要があると思います。女性が目的もなく一人歩きをするのは避けるべきです。
 しかし、デトロイト補習授業校はデトロイトダウンタウンから約20マイルほど北に位置し、補習授業校周辺や日本人家族が居住する地域は、美しい緑とたくさんの湖に囲まれた郊外の安全なところです。新興住宅地または閑静な住宅街も多く、日本の食料品店やレストランなどもあります。学校の設備や街の環境も豊かで整備されている地域が多く、家族が安心して生活できると思います。
 それでも、家や窓の施錠、車庫のドアはどこに住んでも常に気を使って管理するべきであることは言うまでもありません。こちらでは子どもだけに留守番をさせてはいけませんし、子どもが近所の家に遊びに行くときも、親が連絡を取り合います。学校生活についても、習慣や決まりが日本とは異なる場合が多々あります。あまり神経質になる必要はありませんが、アメリカの生活習慣や決まりを早く知り、自分や家族の安全は、まず自分で充分に気をつけることが大切です。